精進落としとは?経験したばかりの筆者が流れと前段階の準備を徹底説明!

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本記事では、主に私の体験をもとに
精進落としの流れと意味、喪主として必要な前日までの準備物
を説明していきます。

管理人Shinoto
こんにちは、管理人のShinotoです。
管理人Shinoto
私は2019年1月に父親を脳梗塞で亡くし、その経験をもとに本記事を書いています。

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まず初めに、精進落としとは仏教の教えに沿ったものですので、仏教以外のお葬式を営む場合は恐らく例外となりますのでご注意ください。

精進落としの歴史と意味

それでは「精進落とし」を1文で説明します。

肉・酒の摂取を禁じていた人」や、「親類に不幸があって精進料理を摂っていた人」が通常の食事に戻すための儀式
ということになります。

はい、ここで疑問が生まれませんか?

「なぜ、肉や酒を摂取していなかったのか?」
「不幸があったから質素な精進料理を食べる?」

 

どういうことでしょうか…?

 

読者1
「誰が、どんなタイミングで、なぜ肉と酒を摂取しないの?」
読者2
「現代社会で異性との関わりを断つって物理的に不可能じゃない?」
読者3
「コンビニにすら行けない…」
読者4
「精進料理って何?って聞かれてもうまく答えられないのよね」
獄舎5
「そういえば、昔から『精進します!』ってよく聞くわね」

 

精進とは、もともと「仏教」が由来しています。

私は熱心な仏教徒ではないので、間違ったこともお伝えしたくないので、詳細は割愛させていただき一般的な観点でお話しいたします。

そもそも「精進」とは?

Wikipedia(ウィキペディア)を覗いてみると、こんなことが書いてあります。

悪を断ち、善行を実践し、雑念を去って仏道修行にひたすら励む積極的な姿勢のことだが、日本には古来から、人畜の死や出血、出産など異常な生理状態を指して不浄、穢れとした概念があった。

これが結びついて俗間では消極的な理解となり、服喪のための物忌みなどでその浄化の実践のために衣服、食事を通じて身心を清めること、俗縁を断ち切って清浄にし、仏門の生活を送ることもいうようになった。

抜粋: wikipedia(精進)

要約すると、
「精進」とは「仏教的に無駄だと思われるものを排除して修行に集中する」
という意味だったみたいです。

ところが俗世間では意味合いが少し変わってしまい
「祭事で神様を迎える時は、仏教的に無駄、不浄だと言われている行為をやめて、身体を清めて集中しよう」
という解釈になったみたいです。

「神様を迎える期間、食事を絶ったり、不浄な行為はせず心身ともに清くする」ことは、「物忌み(ものいみ)」とも言われます。

余談ではありますが、「精進します!頑張ります!」という言い回しは、実は仏教的なもので、
本来の意味としては「私は悪を断ち、善行を実践し、雑念を去って仏道修行にひたすら励みます!頑張ります!」というものだったんですね。

「精進料理」とは?

「精進料理」とは、文字通り「精進」しているときに食べる料理となります。

仏教においては、動物を殺めたりすることも不浄とされているため、動物を殺めなくとも食べれるもの、つまりは極めて菜食的な料理と解釈できます。

仏教における「精進料理」ですが、具体的には、「動物性の食材」と「五葷(ごくん)というネギの一種」を避ける料理を指します。

動物性の食材を避けるのは、なんとなく理由がわかるかと思います。

しかしながら、なぜネギなどの野菜である五葷(ごくん)を避けなければいけないのでしょうか?

諸説ありますが、一般的に五葷(ごくん)とは、下図のような

「ニンニク」、
「タマネギ」、
「ニラ」、
「ネギ」、
「ラッキョウ」

を指します。

五葷(ごくん)とは?

実は、古代から五葷(ごくん)ような食材は性欲増強剤的な使われ方もされており、食べると仏教的に不浄なことが起こりやすいという意味合いがあるようです。

このような理由から、「精進」向きではない食べ物として「精進料理」には含まれません。

ちなみにですが、こういった宗教的な教えは世界的に珍しいことではありません。

よくテレビなどで「インドの人は牛肉を食べない」ってなんとな〜く聞いたことありませんか?
それはインドの大半の人がヒンドゥー教徒だからです。

インドで信仰の深い方々が、「牛は神様だから牛肉は食べない」、「豚肉も不浄なもの」というヒンドゥーの教えを忠実に守っているからこそ、インド人は牛肉を食べないというイメージがついているんです。
仏教において動物を殺めることが不浄だ、と同じようにヒンドゥー教にも神様である牛は殺めるなんて不浄すぎる、という教えがあるんですね。

またイスラム教のラマダーンと言われる月には、断食が行われることは有名です。

断食中は、こんな美味しそうなインド料理も食べれません

イスタム教における断食も神様が無駄・不浄だと禁止したものを避け、「神様に集中する」ということが大きな目的だそうです。

現代の日本において祭事の際には、必ずしも上記のような「精進料理」を食べなければいけないこともないです。

私は仏教式(真言宗)のお葬式を執り行いましたが、「精進」中は上記のような不浄な食べ物を避けもせずに、肉も魚も揚げ物も食べていました。

「精進落とし」とは?

それでは「精進落とし」とはどういうものなのでしょうか?

結論からお伝えすると、精進明けとも言われる精進落としは、精進を終える時に食べる料理となります。

具体的に仏教的な例で説明すると、精進の間に禁止していた肉や魚などの動物性の食材や、先ほどご紹介したニンニク、タマネギ、ニラ、ネギ、ラッキョウの五葷(ごくん)などが解禁された料理を指します。

「精進落とし」は地域によっては、お斎(おとき)、斎の使い(ときのつかい)、精進明けなどの別名で呼ばれることもあります。

精進落としのお膳イメージ

実際の精進落としでは、上図のようなお膳が旅館の夕食のような料理が出てきます。

これらと合わせて、大皿でお寿司やビールなどがあるイメージです。

精進落としの流れ

すでに上述していますが、精進落としとは、「精進」することに終わりを告げ、通常の食事に戻す儀式を意味します。

故人の逝去から慌ただしく準備が始まり、通夜・葬儀告別式が執り行われ、火葬で故人を弔った後の食事となるので、怒涛のような数日間の終わりを告げる食事と言っても過言ではありません。

大抵の場合は、火葬場で収骨が終わった後に料亭やお食事処に移動し行われます。

具体的な流れは以下の5ステップ

1. 火葬後、お食事処に参加者が到着

火葬後に遺骨や遺影を持ち、その場の方とバスなどで精進落としを行う料亭に向かいます。
個人の車で向かう人もいます。

2. 喪主から開始の挨拶

料亭に全員集まり、着席次第、喪主から軽い挨拶を1~2分程度します。

3. 献杯の挨拶

故人の近しい親戚や友人から献杯の挨拶をいただき、献杯となります。

4. 食事

お席は大抵2時間~2.5時間の場合は多いです。

この間に精進落としの料理をいただきます。

また喪主と遺族は、可能であれば参加していただいた方にお酌をしながら軽く挨拶をし回ります。

5. 中締めの挨拶

献杯での開始から1.5時間ぐらいを目安に、中締めの挨拶をします。この辺りから帰られる方が増えていきます。

6. 精進落としの終了

ご参加いただいた方に引き出物をお渡しし、精進落としは終了です。

精進落としの前準備

喪主として精進落としを迎えるにあたり、事前の準備、確認事項が発生します。

時間的な優先度別に6つの準備物を挙げてみます。
喪主を務める方は必ず目を通すようにしてくださいね。

  • 出席者の確認
  • 料亭または葬儀社と料理を決める
  • 会場までの移動手段
  • 返礼品の選択と購入
  • 献杯のお願い
  • 喪主挨拶の練習

出席者の確認

当日、精進落としへの出席有無を確認いたします。

私の場合は出席される方のほとんどがご年配の方で、基本的に電話で確認いたしました。

遠方から出席される方で、時間的に途中で抜けなければいけない方には十分に配慮する必要があるので、この時点で聞いておくことをおすすめします。

精進落としの会場の駐車場には限りもあるので、交通手段が車なのか、公共交通機関なのかも聞いておくと後々のトラブルを避けることができるでしょう。

お店と料理の確定

出席者の確認と同時に、できる限り早くお店を決めます。

私の場合は、偶然なのか時期的なものなのかは不明ですが、地元で評判のお店はどこも他葬儀の精進落としで埋まっており、予約するのに苦労しました。

葬儀社の担当の方にお手伝いいただき、電話をかけ続け4件目でやっとお店の予約を取ることができました。

このお店選び、何も考えておらず評判のお店から順番に電話をしてしまったことから、実は失敗でした。

どのような点で失敗だったかを次で2つ紹介させてください。

NG!! 路地裏の店だった。
お店にたどり着くのに細い路地を抜けなければならず、雪が積もっている中、車でいらした方は店に到達するのに大変そうだったことです。
NG!!  階段を上がった2階の会場だった。
出席された方のほとんどが方がご年配だったため、足腰の弱い方も数人いらっしゃいました。そのため階段の上り下りが発生する2階の会場は失敗したと思いました。

それでは、次に「お店を決めるときの確認ポイント」をご紹介いたします。

禁煙かどうか?

会場は、禁煙か喫煙かを確認しましょう。禁煙の場合、会場の近く、お店のの中に喫煙所があるかどうかも確認してください。

会場は座敷かテーブルか?

会場は座敷タイプか、テーブルタイプかを確認します。座敷ですと足が痛くなってしまう方も多いので、個人的にはテーブルをおすすめします。

車椅子や足腰の弱い方への配慮の有無

2階や3階の会場は階段を上り下りしなければなりませんので、控えましょう。最悪の場合、飲酒後に階段で転げ落ちてしまうなんていう事故も考えられます。また、お店の構造的に車椅子の方でも出入りしやすいかどうかも確認ポイントの1つです。

クレジットカードが利用できるか?

意外と地方にはまだ多いのですが、クレジットカードが利用できないお店があります。支払いが現金のみの場合、当日は数十万円単位の現金を持ち歩くはめとなりますので、お店でクレジットカードが利用できるかを前もって確認しておきましょう。

料亭とのメニューや金額の決定

大抵は、お店側で精進落とし用のコースメニューが複数あるはずです。
料金は安いもので4000円、高くとも6000円程度のお膳が一般的なもので、この料金には飲み物代は含まれていません。
そのため、1人500円~1000円程度を飲み物代として御膳とは別に見積もっておく必要があります。
予算としては、お膳と飲み物代を合わせて1名あたり5000円~6000円を目安にしておけば認識していれば問題ないでしょう。
合わせて確認しておきたい内容としては、お子様メニューが提供可能かどうか、ノンアルコールビール揃っているかどうか等が挙げられます。

会場までの移動手段

一般的には火葬場で収骨が終わった後に、精進落としの会場へ向かうこととなります。
大抵の場合は、葬儀社が準備するマイクロバスで会場へ向かうか、出席者が各々の自家用車で向かうかのどちらかになることでしょう。

出席人数が多い場合、マイクロバスの定員の関係で乗れない方も出てきますので、事前に葬儀社と人数に関して念の為に打ち合わせしておくことをおすすめします。

返礼品の確定

精進落としが終了次第、返礼品をお渡しして解散となります。
精進落とし後の返礼品は、全国的な平均金額として2000円~3000円程度と相場が決まっています。

基本的には、香典返しリストから2000円~3000円の商品を選択することをおすすめします。
何を選ぶべき?香典返しの定番品物20選とタブー品をまとめました。

献杯のお願い

献杯は、精進落としの儀の中でも大きな役割があります。
故人のご兄弟ご姉妹や、その配偶者など近しい親戚から選び、喪主から事前に依頼をしてください

当日の流れは、喪主から簡単な挨拶の後に献杯の挨拶と続きますが、この献杯の挨拶までの間に出席者全員が献杯できる状態にする必要がありますので、喪主から飲み物を注ぐように促しましょう。

挨拶の作成と練習

精進落としには、喪主として参加者に対する挨拶が2度あります。

・初めの挨拶
・中締めの挨拶

葬儀告別式の中でも喪主からの挨拶があるので、ここでは簡単なもので問題ありません。

こちらの記事では、挨拶文の例文を含め詳細な作り方まで全て無料で公開していますので、よろければご覧ください。
2回必要?精進落としの挨拶例文10選と作成のコツを経験者が教えます

まとめ

それでは記事のまとめとなります。

「精進」とは、仏教的に無駄や不浄とされる行為を避け、心身を清めることを意味します。
仏教的に不浄とされる行為の中に「動物を殺める」ということも含まれており、精進の間に食べる「精進料理」には肉や魚などの動物性の食材を使わないことが基本とされます。

「精進落とし」とは、精進することの終わりを告げる食事を意味しており、「精進料理」とは逆に、動物性の食材を含んだ料理となります。

精進落としの儀は、喪主からの簡単な挨拶、そして献杯の挨拶から会が始まります。
時間にすると1.5時間程度、食事をした後に中締めの挨拶となり、会は終了を迎えます。

喪主として精進落としの前準備をする際には、お店選びから当日の会まで多岐にわたって確認するポイントがあるので本記事を参考にしてください。

故人が亡くなった後の数日間は、通夜、葬儀告別式の準備も含めて悲しんでいる暇もないほどの怒涛のようにスケジュールです。
精進落としは、精進に終わりを告げる食事となるため、この数日間の怒涛の忙しさも一旦落ち着くこととなります。

喪主としてこれから葬儀・告別式を執り行う方は以下の記事も役に立ちますのでご覧ください。
喪主を経験した25歳が、これからお葬式を迎える人にアドバイスを送る。

次のステップは、香典返しとなります。

香典返しとは香典を多くいただいた方に対して、葬儀・告別式の返礼品とは別の返礼品を後日お渡しするものです。

こんなこと言ってしまっては罰当たりかもしれませんが、返礼品にさらに追加して返礼品って何だか面倒な感じがしちゃいますよね。
ですが、香典を多く頂戴した方に対して感謝と今後のお付き合いをお願いする意味で必ずお返しすることをおすすめします。

精進落としに関する詳細は、こちらの記事にまとまっていますのでご覧ください。
何を選ぶべき?香典返しの定番品物20選とタブー品をまとめました。

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